社員も顧客も「健康一番」 「大戸屋」店舗で食育セミナー
出典:産経新聞
平成17年の「食育基本法」の制定・施行から5年。生きていく上で欠かせない「食」について学ぶことは、児童生徒を対象にした教育現場だけではなく、社会人など大人向けのセミナーでも活発化している。食育を通して顧客との交流を深め、社員には企業理念の浸透を図る外食チェーンの現場を取材した。(谷内誠)
国内外約260店を数える和定食チェーンの「大戸屋」(東京都武蔵野市)は、3月から全国の店舗で、主に一般の来店客を対象にした食育セミナーを開催している。
「当社の企業理念のひとつである“人々の心と体の健康を促進する”ために、2年前から従業員に向けて栄養学など科学的な根拠に基づいた食育を行っています。今年から、これを発展する形でお客様にも向けて行っています」(島村利美マーケティング戦略本部長)
具体的には、食育に関するコンサルティングを行う食ライフデザイン(東京都新宿区)と提携し、同社社長で管理栄養士である柏原幸代氏や社内で食育シニアマスターの資格を持つ店長が、各店を訪れてセミナーを開催する。1回90分で、内容が異なる4回を各店で開き、事前に店で予約した参加者約20人が、店が比較的混雑しない午前中に受講する。参加料は700円で、講義のあと、大戸屋の定食が提供され、講師との懇談もできる。来年6月までに4カ月に1回のペースで計4回の講座を40店で行う。
2年前から大戸屋の従業員に向けて、食育講習会を行い、各店でのセミナーの講師も担当する柏原さんは、「外食産業の現場で働いていても、一人一人は昼食を抜いたり、夜遅くなるために食事をせずにお酒だけですませたりすることもありました。顧客の健康に貢献するという企業理念の実現のためには社員がまずそれを体現してほしい、と訴えました」という。
柏原さんは「大人の食育」をテーマに、店頭で顧客に栄養学の観点から話している。「例えば、日本人の1日の摂取カロリーは終戦直後と変わらないのに、ダイエットしたいという人が多い。低カロリーならやせられるということではなく、逆にカロリー制限で代謝が低下して太りやすくなることがある、などという話をしています」。そして、「食育については外食産業だけでなく、多くの企業がCSR(企業の社会的責任)の見地から行うところは多いのですが、結果的に一担当レベルや表面的な対応で終わることが多く、個々の社員が健康で生き生き暮らせるための教育につなげるところはまだ少ない」と指摘する。
大戸屋の社員で、食育シニアマスターの資格を持ち、セミナーの講師を務めている札幌・JR琴似店店長の福島宏美さんは「受講者の中に糖尿病の方がおられたのですが、病院で受けた栄養指導より分かりやすかったといわれたのがうれしかったですね。営業中だとお客さまと直接話をする機会がなかなかないため、セミナーの場でそれができ、地域の中に店が根付いていけるという意義も大きい。同時に今後も正しい食の情報を発信していきたい」と話している。
身近な定食屋で、食の基本的知識が身につけば通う意義はさらに大きくなりそうだ。
問い合わせ大戸屋マーケティング戦略本部((電)0422・26・2600)。
【会社概要】大戸屋
昭和33年、東京・池袋に「大戸屋食堂」として開業。女性1人でも入りやすい家庭的な和定食をメーンに、「大戸屋ごはん処」を中心に定食専門店をチェーン展開する。直営123店、フランチャイズ102店、海外33店(6月30日現在)。
![sapone[サポネ]](http://kankyoucom.sapone.jp/wp-content/themes/sapone_02_g/images/logo.gif)




